シリーズ累計発行部数が640万部を突破し、数々の賞を受賞している三上延原作の人気シリーズ「ビブリア古書堂の事件手帖」が黒木華×野村周平のW主演で実写化されることがわかった。
本作は、鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂を舞台に、店主である篠川栞子が古書にまつわる数々の謎と秘密を解き明かしていく“古書探偵ミステリー”。極度の人見知りだが、驚くべき本の知識とプロファイリング能力を持つ文芸女子・篠川栞子を黒木華、過去の体験から本が読めなくなった特異体質を持ち、不器用ながらも誠実で憎めない五浦大輔を野村周平がそれぞれ演じる。監督を『幼な子われらに生まれ』の三島有紀子が務める。
黒木華 コメント
以前から原作は読んでいて、とても面白かったので今回のお話をいただいた時はうれしかったです。表紙に描かれている栞子さんのビジュアルが強く印象に残っていて、そこがプレッシャーでもありましたが、ぼそぼそ喋るところだったり、人の目をぱっと見られないところだったり、雰囲気を近づけられるよう意識しました。また監督と「何か癖があるといいよね」とお話している中で、頭を掻くとか、推理をする時は人の目をバシッと見るとか、細かい仕草を詰めていきました。
三島監督とは『繕い裁つ人』に続きお仕事するのは2回目なので、すごく嬉しいです。監督はいつも撮りたいものに明確なイメージを持たれていて、男らしい部分もありながら、撮られるものは女性的で、自分が気付かないところにも気づいてくださり、とても細やかな方だと思います。ご一緒していて面白いです。野村さんとは初共演でした。TVなどで見ている姿とあまり変わらずとても面白い方で、いつも現場を盛り上げて下さり、楽しかったです。
この作品はミステリー映画として謎解きがすごく面白く、さらに栞子と大輔の恋愛など、いろいろなところに注目してお楽しみいただける作品だと思います。原作ファンの方にも、原作を読んでいない方にも楽しんでいただきたいです。
野村周平 コメント
原作についてはもともと知っていました。大ヒットしている話題作の映画化に声をかけていただき、とても嬉しかったです。本作で僕は五浦大輔という、過去の経験から本が読めなくなった青年を演じていますが、僕も活字に少し苦手意識があったりするので(笑)、大輔と共通点が多く、すごく入りこんで演じられています。三島監督とは今回初めてご一緒しました。いい時はすごく褒めてくださりますし、アメとムチで上手に僕のことを躍らせてくれます。
黒木さんは、最初は物静かな方という印象がありましたが、たくさん話しかけてくださり、一緒にいてとても楽しい方です。今回共演できて本当によかったです。この作品には本の魅力が詰まっています。ゆったりとした、ビブリアの魅力的な世界観に浸っていただきたいです。キュンとするような淡いラブストーリーもあります。そして何より、本が読みたくなるような作品だと思います。ぜひこの映画を観て、本を読んでいただけたらなと思います。
原作者・三上延 コメント
小説家にとって作品は子供のようなものですが、ひとたび世に出た瞬間に小説家だけのものではなくなります。読んでくださった方のものにもなり、映像化されればスタッフやキャストのものにもなるのです。自分の手を離れるからこそ、巣立っていった先でできるだけ多くの方に愛され、幸せになって欲しい、というのが原作者の願いです。
今回の映画化にあたって、脚本段階で三島監督をはじめとするスタッフの皆さんと何度か打ち合わせをさせていただき、原作を安心してお任せできると確信しました。私だけではなく原作の読者の皆さんにとっても、映画ならではの素晴らしく新しい「ビブリア」になっていることを期待し、楽しみにしています。
三島有紀子監督 コメント
Q. 原作を読んで感じたこと
三上延さんの書かれた古書堂の世界に魅了され、自分の描きたい世界観ととてもリンクすると感じました。書いた作家の想い、読んでいた人の想いがひとつの本という形になってそこに存在している。そんな空間(ビブリア古書堂)にまず実際に行きたいと思いました。それに、栞子さんと大輔、それぞれのキャラクターと会いたいと思いました。
Q. 本作を実写映画化するにあたり、大切にしていること
自分自身、小説との出会い、一冊の本との出会いから多くの心の変化が生まれました。知らない世界を知る喜びは、痛かったり辛いときも含めて、心を豊かにしてくれます。古書店に置いてある古い本には、いろんな人のそんな心の変化がいくつも積み重なっているように思います。だからこそ、古い本を通じて“受け継がれる想い”を大切に描けたらと思いました。そして、古書堂に関しては何度でも行ってみたいと思えること、キャラクターに関しては会ってみたい、ずっと一緒にいたい、と思えることを大切に考えながら演出しました。
Q. 黒木華さん、野村周平さんについて
栞子さんは黒木華さん以外に考えられませんでした。まず、実際に本を読む人で本を読む姿が栞子さんと重なる人は誰か…そして、繊細な心の変化を見せてくれる人…黒木華さんだ!と思いました。『繕い裁つ人』でご一緒させていただいていますし、演技については絶対の信頼があります。黒木さんが、知性あふれる、それでいて少し変人でシャイで、限りなく愛おしい栞子を生んでくれました。
月の光りのような栞子に対して、大輔は太陽のような人にやってもらえたらと思っていました。野村周平さんは、存在するだけでまわりの人の心がほぐれて明るくなり、根底に流れる心の強さみたいなものを感じました。野村さんが、ダメな男だけどストレートで素直な大輔を、楽しくそして深く演じてくれています。
Q. 公開を待つ皆さんへのメッセージ
「これは、古い本と、それをめぐる人間のおはなし」です。ある本を読んでいた人の想いがその本に託され、長い年月を経て、古書店を通して誰かの手に渡り、その想いが違う形で結実するということがあるような気がしてなりません。そんな、受け継がれていくモノ(本)としての魅力、あたらめて小説という中身の魅力、 それらにまつわる人間たちの魅力を、栞子(黒木さん)と大輔(野村さん)とともに、お届けしたいと思います。
I'm sure you are going to love it!
みなさまに、この作品を、きっと、気に入っていただけると信じています。
小川真司(ブリッジヘッド)企画プロデューサー コメント
今回の企画は2014年秋頃に立上げましたが、約3年の歳月を経て、素晴らしいスタッフ・キャストの皆さんに恵まれ、実現に至ることができました。
三島監督とは『しあわせのパン』の頃からの知り合いで、彼女自身が文学少女だったことや料理や衣服などの世界を丁寧に美しく撮ることができる人だったのをつぶさに見てきたので、真っ先に監督をお願いし、テーマを説明した上で引き受けていただけました。それから、脚本の渡部亮平さんとビブリアの物語を作り始めたのです。
なぜ、僕が「ビブリア」に興味を持ったのかというと、僕自身が栞子さんのように本好き古書好きだったことですね。ものすごい時間をかけ、作家は想いを込めて小説やエッセイや詩を書きますが、それが書物を通して読まれることで時を隔てても人々に伝わっていく。 古書の場合はさらにモノとしてそれを読んだ人、所有していた人の想いものせて人から人の手に渡っていくーー。本を読むということは見知らぬ人と対話をすることでもあり、その心の交感を誘う世界にはロマンスがある。
電子書籍では味わえない本の手触りの感触、それは人と人の手が触れ合う瞬間のざわめきにも似た喜びがあるはずで、この「ビブリア古書堂の事件手帖」ではそうした世界観を大切にしたいと思っています。
主人公の大輔は祖母の写真が夏目漱石の「それから」に挟まれていたのを見つけたことがきっかけで、祖母の過去の秘められた恋を知ることになります。現在と過去が本を巡りながら交錯して、時を隔てて人の想いが繋がって行きます。とても20世紀的な古風なロマンスの復権を目指した映画だと言えます。
主演に迎えた黒木さんと野村さんは原作に登場する栞子さんと大輔そのままの雰囲気を実際に持っていらっしゃる方で、原作ファンの方にもぜひ楽しみにしていただきたいです。聡明な栞子さんと実直な大輔、過去の謎と現在の危機が2人の微妙な距離を徐々に縮めていきます。その淡いロマンスのスリリングな過程をお2人が素晴らしい演技で紡いでいます。
映画『ビブリア古書堂の事件手帖』は2018年全国公開
【CREDIT】
監督:三島有紀子 脚本:渡部亮平、松井香奈
出演:黒木華 野村周平
原作:三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』(メディアワークス文庫/KADOKAWA 刊)
配給:20 世紀フォックス映画、KADOKAWA
© 2018「ビブリア古書堂の事件手帖」製作委員会